観光が楽しくなる!「神話のふるさと」宮崎にまつわる物語

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宮崎の神社や観光地と、どこかしらで聞いた物語が結びついたとき、宮崎がとても魅力的な地であることに気づきました。

とっつきにくいイメージだった『古事記』や『日本書紀』も身近に感じるはず。

「天の岩戸」と呼ばれる場所など、同じ伝承の残る土地が日本各地にあります。ここでは宮崎の各地で伝承の残る場所を、神話の物語とともにご紹介していきます

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目次

森羅万象に神が宿ると考える日本

「無宗教」と言われている日本人。

それは一般的な宗教のように特定の教祖や教義というものが存在せず、「八百万の神(やおよろずのかみ)」と呼ぶように森羅万象に神々の存在を感じ、あらゆる神を受け入れるからかもしれません。

「お天道様が見てるよ」

悪いことをすれば、いつか罰が当たる。

「いただきます」「ごちそうさま」

あらゆる命に感謝する。

物に宿る神(付喪神)など、どんなものにも神が宿ると考えているから大切にする。

付喪神:ススワタリ(煤渡り)/まっくろくろすけ

特定の宗教を信仰しないから無宗教と思っているものの、その考えは神道に通じています。

ハロウィンやクリスマス、あらゆる宗教の文化も受け入れ楽しめるのは、日本人らしいとも言えるかもしれませんね。

日本の物語のはじまり『古事記』と『日本書紀』

日本の物語は、神話や古代史を記した現存最古の歴史書『古事記』と『日本書紀』からはじまります。

大筋の内容は似てはいるものの、異なる内容もあります。

  • 『古事記』
    • 目的:天皇家の歴史を記すこと
    • 内容:人物を軸に物語が進み、日本の第33代天皇『推古天皇』の治世まで
    • ボリューム:上・中・下巻
  • 『日本書紀』
    • 目的:日本という国の成立を記すこと
    • 内容:年代順に記載され、第41代天皇『持統天皇』まで
    • ボリューム:30巻

参照:【大人の教養・日本美術の時間】読んだことある?『古事記』と『日本書紀』|TSUMUGU JAPAN ART & CULTURE

国生みの物語

天と地がわかれはじめていった際、最初に生まれたのが宇宙をつかさどる根源の神『アメノミナカヌシノカミ(天之御中主神)』。

次に『タカミムスビノカミ(高御産巣日神)』と『カミムスビノカミ(神産巣日神)』が生まれました。

さまざまな神が生まれていくなかで、三人の神々は『イザナギノミコト』という男神と『イザナミノミコト』という女神に国生みを命じました。

島々が生まれ、つづいて神々を産んでいき、イザナミが火の神を産んだときに大火傷をして死んでしまいました。

イザナギは死んだ妻をあきらめることができず、黄泉の国へ。

そこで再会した妻は身体中にうじが這い回る見るも恐ろしい姿。

妻の変わり果ててしまった姿に驚いたイザナギは、逃げ出します。

姿を見られたことに怒ったイザナミは追いかけ、イザナギはなんとか逃げ帰ります。

イザナギは黄泉の国の穢れを清めるため、禊ぎをしました。

宮崎市阿波岐原町の「みそぎ池」が禊ぎをした場所と言われています

祀られている神社
  • 宮崎市清武町|今泉神社(イマイズミジンジャ):アメノミナカヌシノカミ
  • 児湯郡都農町|都農牧神社(ツノマキジンジャ):アメノミナカヌシノカミ
  • 延岡市舞野町|下舞野神社(シモマイノジンジャ):アメノミナカヌシノカミ
  • 宮崎市阿波岐原|江田神社(エダジンジャ):イザナギノミコト・イザナミノミコト

八百万の神々の最高位『天照大御神(アマテラスオオミカミ)』

イザナギが「みそぎ池」で穢れを清めた際、三人の神が生まれました。

  • 左の目:太陽神『アマテラスオオミカミ(天照大御神)』
  • 右の目:『ツクヨミノミコト(月詠尊)』
  • 鼻:『スサノオノミコト(素戔嗚尊)』※やまたのおろちを退治

アマテラスには神々が住む天上の世界『高天原(たかまがはら)』を、ツクヨミには夜の世界を、スサノオには海原をおさめるよう任せました。

けれどスサノオは任務を放棄して「黄泉の国にいる母に会いたい」と泣き喚き、任せた場所は荒れていくばかり。

父イザナギに「出ていけ」と怒られたスサノオは、姉のアマテラスにお別れを告げるために高天原へ。

アマテラスはスサノオが高天原をのっとりに来たのかと思って、激しく叱ります。

そうではないというスサノオの言い分を信用したものの、酒を飲み、高天原で次々と悪さをするスサノオ。

スサノオの悪さの一部
  • 田んぼの溝に泥を埋める
  • 新嘗祭をするための御殿にクソをする
  • いたずらに驚いた一人の乙女に、はたをおる道具が刺さり亡くなる

エスカレートするスサノオの所業に心を痛めたアマテラスは、「天の岩屋」に身を隠して戸をぴったりと閉め、世の中は闇に包まれてしまいました。

アマテラスに外にでてきてもらうため、「天安河原」にて話し合いを行う八百万の神々。

高千穂町の天岩戸神社は、「天岩戸」を御神体としています。神々が話し合いをした「天安河原」もあり、神秘的な雰囲気を感じる場所です

岩戸の前で賑やかな宴会を行い、アメノウズメ(天鈿女命)が舞うと、アマテラスは気になって岩戸を少し開きます。

アメノタヂカラオ(天手力男命)がその瞬間を狙って、岩戸を投げ飛ばしたことで、再び世の中に光が戻りました。

高千穂町の「夜神楽」はアメノウズメの舞がはじまりといわれています

祀られている神社
  • 延岡市古川町|安賀多神社(アガタジンジャ):アメノタヂカラオ
  • 西臼杵郡高千穂町|荒立神社(アラタテジンジャ):アメノウズメ
  • 延岡市舞野町|三宅神社(ミヤケジンジャ):アメノウズメ
  • 西臼杵郡高千穂町|天岩戸神社(アマノイワトジンジャ):アマテラスオオミカミ

「天孫降臨」からはじまるニニギノミコト×コノハナサクヤヒメの物語

アマテラスは孫であるニニギノミコトに稲穂が実る美しい国をおさめるよう伝え、“私だと思って大切に祀りなさい”と三種の神器を渡します。

三種の神器
  • 八咫鏡(ヤタノカガミ):天岩戸を開ける際に使用したもの
  • 八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
  • 天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ):別名「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」ヤマタノオロチの尾から取り出したもの

※現在でも、皇位継承の証として歴代の天皇に受け継がれています

ニニギノミコトは、九州の高千穂の峰に降り立ちます。

アマテラス(天照)の孫が地上世界に降臨したので「天孫降臨(てんそんこうりん)」と呼ばれます。
伝承が残る場所は各地にありますが、よく知られているのが、宮崎県と鹿児島県の県境にある高千穂峰です。

御殿をつくり暮らす中で、山の神(オオヤマツミノカミ)の娘『コノハナサクヤヒメ』に出会います。

一目惚れしてプロポーズ。

オオヤマツミは喜んで姉のイワナガヒメ(磐長姫)も一緒に送りだしますが、イワナガヒメは岩のようにゴツゴツしたヒメだったのでニニギノミコトは送り返してしまいます。

イワナガヒメがもたらすのは永遠の命。送り返したことにより、ニニギノミコトの子孫にあたる天皇の命は限りあるものとなりました。
西都市の銀鏡(しろみ)神社は、イワナガヒメが自分の姿を見て投げた鏡が枝にかかり、光を照らした地といわれています。その鏡が御神体です。

一夜を過ごした、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメ。

西都市の都萬(つま)神社は、二人が新婚生活を送った地とされています

その後コノハナサクヤヒメが妊娠を告げると、ニニギノミコトは「たった一夜で子どもができるとは信じられない」と伝えます。

コノハナサクヤヒメは「あなたの子ならば火の中でも無事に生まれるはずです」と、戸のない御殿を作り、火を放った中で出産しました。

生まれてきた3人の皇子は「ホデリノミコト(火照命=海幸彦)」「ホスセリノミコト(火須勢理命)」「ホオリノミコト(火遠理命=山幸彦)」です。

ホオリノミコト(山幸彦)の孫が初代天皇の神武天皇です

西都市では、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの物語を楽しめる「西都古墳まつり」があります。

ダイナミックで幻想的な祭りなので、一度訪れてみるといいかもしれません。

また西都市の男狭穂塚古墳はニニギノミコト、女狭穂塚古墳はコノハナサクヤヒメの陵墓として伝えられています。

「沖つ藻は 辺には寄れども さ寝床も あたはぬかもよ 浜つ千鳥よ」(瓊瓊杵尊/日本書紀)
沖の藻は浜辺に打ち寄せるけど、コノハナは寝床に寄ってくれなくなった。浜の千鳥は仲良いなぁ…

疑われたことを悲しんだコノハナサクヤヒメが、夫であるニニギの寝床に近寄らなくなったことを憂えて、ニニギが詠んだもの。

いや、そうなるよね…。(人間臭いエピソード面白い)

祀られている神社
  • 西臼杵郡高千穂町|高千穂神社(タカチホジンジャ):ニニギノミコト
  • 宮崎市熊野|木花神社(キバナジンジャ):コノハナサクヤヒメ
  • 西都市銀鏡|銀鏡神社(シロミジンジャ):イワナガヒメ ※投げた鏡を祀っています

「ウミサチヒコ(海幸彦)」と「ヤマサチヒコ(山幸彦)」

ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの間に生まれた三人の子どものうちの二人が、宮崎でもよく耳にする「ウミサチヒコ(ホデリノミコト)」と「ヤマサチヒコ(ホオリノミコト)」です。

ウミサチヒコは兄の釣り針を借りたところ、海の中になくしてしまいました。謝ったものの、兄は許してくれない。

途方に暮れつつ探しまわっていたところ、シオヅツノオオカミ(塩筒大神)が、オオワタツミノカミ(大綿津見神)の御殿への道を示してくれます。

そこでオオワタツミノカミの娘トヨタマヒメ(豊玉姫)と出会い、愛し合うようになりました。

三年の月日が流れ、兄の約束を果たすために地上に戻りたいとトヨタマヒメに打ち明けるヤマサチヒコ。

浦島太郎の物語にも似ていますよね。宮崎市内海の「野島神社」は浦島太郎が祀られています

トヨタマヒメは身ごもっていて、“あなたの子は海で生むことはできないので、海辺に産屋を建てて待っていてください”と告げます。

釣り針とともに地上へ戻ったヤマサチヒコを、村人は衣類をまとう暇もなく裸の姿で海に飛び込んで迎えました。

この故事にちなんで青島では、ふんどし姿の男性とじゅばん姿の女性が真冬の海で身を清める「裸まいり」というお祭りが行われています

トヨタマヒメの教えを実践することで、ヤマサチヒコは豊かに、ウミサチヒコは貧しくなりました。

恨んだウミサチヒコがヤマサチヒコを攻めたものの、反撃にあい、忠誠を誓いました。

日南市北郷町の潮嶽神社(うしおだけじんじゃ)は、全国で唯一ウミサチヒコを御祭神として祀っています

祀られている神社
  • 西臼杵郡高千穂町|高千穂神社(タカチホジンジャ):ヤマサチヒコ
  • 宮崎市青島|青島神社(アオシマジンジャ):シオヅツノオオカミ
  • 日南市宮浦|鵜戸神宮(ウドジングウ):トヨタマヒメ

トヨタマヒメの出産

トヨタマヒメは出産の際、約束どおりヤマサチヒコが建てた産屋をおとずれました。

「子どもを産む姿は見ないでください」

そう伝えたのに、ヤマサチヒコは覗いてしまいました。

するとトヨタマヒメはワニ(サメ)の姿をしていたため、思わず叫び声を。

見られたくない姿を見られ、しかも恐れられたと知ったトヨタマヒメは、もう会う勇気はないと子どもを置いて去っていきました。

ヤマサチヒコはそのことを悔い、「ウガヤフキアエズ(鵜葺草葺不合命)」と名付けて育てました。

【古事記には記述がない、伝わっている話】

洞窟の岩からしたたり落ちる水を乳がわりにして子供は見事に育ちます。
これが鵜戸神宮に今も残るお乳岩の伝説です

宮崎の神話と伝説〜街角のあちこちが古代へのタイムトンネル〜 | 特集 | 【公式】宮崎市観光サイト

トヨタマヒメは夫と子のことを思い、妹のタマヨリヒメ(玉依姫)をウガヤフキアエズのお相手にと送り出しました。

タマヨリヒメとウガヤフキアエズの間には4人の子どもが生まれました。

その一人が日本の初代天皇といわれている『神武天皇(カムヤマトイワレビコノミコト:神日本磐余彦尊)』です。

神武天皇が生まれ、幼少期を過ごしたとされるのが高原町の「皇子原」です

15歳の時に高原を発ち、宮崎市下北方町の皇宮(こうぐう)神社付近にて、東の国「大和(やまと)」に向かうまでの約30年を暮らしたといわれています。

祀られている神社
  • 日南市宮浦|鵜戸神宮(ウドジングウ):ウガヤフキアエズ
  • 宮崎市神宮|宮﨑神宮(ミヤザキジングウ):カムヤマトイワレビコノミコト・ウガヤフキアエズ・タマヨリヒメ

「神話の里ふるさと」宮崎の魅力を知ろう

神話の中で登場する三種の神器も存在していて、皇位継承の証として歴代の天皇に受け継がれています。

どこから本当でどこまでが創り話?調べれば調べるほどわからなくなるのが、また一つの魅力だと思います。

宮崎の各地を訪れる際に「日本の神話」を知っておくと、また違った視点で観光地を楽しめるはずです。

子どもから大人まで、とてもわかりやすくて楽しめる本です

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この記事を書いた人・監修者

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