航空自衛隊 新田原基地の基礎知識|所属の航空機・見学場所
宮崎に住んでいると、高速に乗ったときや西都・新富を訪れた際に意識する『新田原(にゅうたばる)基地』の存在。
運転中ついつい気になってしまう人も少なくないはず。(わき見注意!)
“せっかく宮崎にいるのだから、ある程度は詳しくなりたい”と思ったものの、いったい何から知れば?という超初心者状態の私が調べた基礎知識。
まずは新田原基地所属の航空機「4種類」だけ覚えればOK
新田原航空祭をより楽しみたい人向けに、パイロットのすごさ・新田原基地所属の航空機・おすすめの見学場所などについて紹介します。
航空自衛隊とは
日本においては、地上の警察官、海の海上保安庁のような「空の警察力」というものが存在していません。
航空自衛隊は唯一、日本の空の「平和」と「安全」を担う組織です。
新富町の航空自衛隊新田原基地には約1600人の隊員が所属し、日本の平和と安全のために日々任務に励んでいます。
- JASDF:Japan Air Self Defence Force(航空自衛隊)の略
- WADF:WESTERN AIR DEFENSE FORCE(西武航空方面隊)の略
空を守るパイロットの過酷な訓練
いざという時に対処できるよう、パイロットは日々過酷な訓練を行なっています。
F15パイロットに密着取材を行ったテレビ映像を見てみると、その大変さが伝わってくるはず。
空の上では過酷なG(重力)の中で冷静な判断と操作が必要となり、普通の人が耐えられるのは4Gまで。
F15は最大9Gの重力がかかると言われていて、9Gとは100kgの人なら900kgの力で押し付けられるような感覚。
戦闘機に乗る際に大きなGに耐えるため着用する「耐Gスーツ」は、耐G能力を約1.5Gほど高めてくれます。
人間は個人差があるものの,頭から足の方向へ6Gくらいかかると,脳に十分血液が行かなくなり,一時的に目が見えなくなるブラックアウトなどの症状を示す。
Gスーツとは – コトバンク
4Gで手が重くなり、バンザイするだけでもかなりの訓練が必要。
6Gからは普通の呼吸ができなくなり、9Gは生きているのが不思議なぐらいの環境で、訓練された人間の限界。
空中戦から戻ると、体の柔らかい部分が内出血しているのであざだらけ、極度の疲労、そして慢性的に腰を痛めているそう。(Gについて参考・引用:元テストパイロットの方のようです「じいの話」)
こういう話を知ると日頃の訓練・鍛錬が伺いしれるし、航空祭で地上に戻ってきたパイロットを拍手で迎えたくなりますよね。
新田原基地所属の航空機
2022年6月現在、新田原基地には4種類の航空機が所属していて、今後自衛隊が導入予定の最新鋭のステルス戦闘機「F35B」が配備される予定です。
現在配備されている4種類を知ることで、普段は新田原基地に配備されていない航空機が把握できるので、より見学や航空祭を楽しめるはず。
- F-15J / DJ 戦闘機
- T-4 中等練習機
- U-125A 救難捜索機
- UH-60J 救難ヘリコプター
参考:新田原 展望広場の設置看板
F-15J / DJ 戦闘機
最初のFはFighter(戦闘機)の略です。F-15は航空自衛隊の主力戦闘機。
昭和47年(1972年)に初飛行した米空軍の制空戦闘機で、2022年で50年が経過してもなお、搭載装備の近代化を進めながらトップクラスの実力をもつ戦闘機です。
F-15は実戦で撃墜されたことがない戦闘機であり続けたため、「最強戦闘機」とも呼ばれていました。
新しい戦闘機がどんどん開発されているため、現在では最強戦闘機ではないものの、改良を続けながら強い戦闘機であり続けています。
F15は別名イーグルと呼ばれ、パイロット達は「イーグルドライバー」と呼ばれています。
主要スペック | |
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分類 | 戦闘機 |
乗員 | 1人/2人 |
全幅 | 13.1m |
全長 | 19.4m |
全高 | 5.6m |
エンジン | |
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搭載数 | 2基 |
名称 | F100-PW(IHI)-220E |
性能 | |
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最大速度 | マッハ約2.5 |
航続距離 | 約4,600km |
武装 | 20mm機関砲 空対空レーダーミサイル 空対空赤外線ミサイル |
マッハは音の速さが基準で、マッハ1は秒速340m。時速換算だと1224km/hです。マッハは気温で変わり、これは高度0メートル気温15度の条件の場合。
F-15がマッハ2.5で飛べるのは成層圏なので、295.1m/s(約1,062km/h)。
T-4 中等練習機
最初のTはTrainer(練習機)の略です。
T-4(ティーフォー)は、基本操縦過程の全てを担う、信頼性・整備性の高い純国産。
初等練習機T-7(プロペラ機)で訓練を終えたパイロットが、つづいて訓練するための中等練習機となっています。
華麗なアクロバット飛行を披露することで有名な「ブルーインパルス」は、T-4を青と白の2色にカラーリングし、スモークをキレイに引くための改修等が施されたものです。
主要スペック | |
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分類 | 中等練習機 |
乗員 | 2人 |
全幅 | 9.9m |
全長 | 13.0m |
全高 | 4.6m |
エンジン | |
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搭載数 | 2基 |
名称 | F3-IHI-30B |
性能 | |
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最大速度 | マッハ約0.9 |
航続距離 | 約1,300km |
U-125A 救難捜索機
最初のUはUtility(汎用機)の略。汎用とは、幅広い用途に用いられることを意味します。
元々運用していた飛行点検機であるU-125を救難捜索任務を行えるように改良した機体のため、元々のU-125と区別するために最後にAというアルファベットがついています。
捜索レーダー・赤外線暗視装置・援助物資投下機構などを装備した、遭難者を救援する機体です。
参考:航空自衛隊救難捜索機U-125Aについて- Yahoo!知恵袋
主要スペック | |
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分類 | 救難捜索機 |
乗員 | 4人 |
全幅 | 15.66m |
全長 | 15.60m |
全高 | 5.36m |
エンジン | |
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搭載数 | 2基 |
名称 | TFE731-5R-1H |
性能 | |
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最大速度 | マッハ約0.78 |
航続距離 | 約4,000km |
UH-60J 救難ヘリコプター
最初のUはUtility(汎用機)、HはHelicopter(ヘリコプター)の略です。
アメリカの多用途ヘリコプターUH-60Aを、航空自衛隊救難機向けに独自改造した機体。赤外線暗視装置、気象レーダや、精密な慣性航法装置を搭載しています。
UH-60J救難ヘリコプターは、航続距離が長く、広い救難可能区域を持っているのが特徴。
航空自衛隊では2021年3月末時点で41機を保有し、隊員からは「ロクマル」と呼ばれています。
主要スペック | |
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分類 | 救難ヘリコプター |
乗員 | 5人 |
全幅 | 5.43m |
全長 | 15.65m |
全高 | 5.13m |
エンジン | |
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搭載数 | 2基 |
名称 | T700IHI-401C |
性能 | |
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最大速度 | 約144kt |
航続距離 | 約1,295km |
ktはノット。1ノットは1時間に1海里(1852m)進む速さで、時速にすると約1.8km/h。144ktなら、259.2km/hということになります。
たとえば宮崎から福岡が約300キロなので、福岡までなら約70分の速さ。
新田原基地の見学場所など
違法駐車を行い見学をすると、周りに迷惑をかけるだけでなく、新田原基地にも迷惑がかかってしまいます。
マナーを守って見学するようにしましょう。
新田原基地航空祭の時には、許可された車以外は新田原基地周辺に立ち入ることができなくなります
新田原展望広場
新田原展望広場は、2020年4月にオープンしました。
航空自衛隊新田原基地が一望でき、近距離で迫力ある航空機の離発着シーンを見学できる場所です。
20台ほど停められる駐車スペースがあり、キレイなトイレも兼ね備えています。
芝生が整備されベンチもあるので、子どもさん連れの方や、休憩がてら訪れている方も多いです。
撮影されている人たちの会話に耳をすませていると、自然と知識が増えていくはず!
空の駅 眺鷲台(ちょうしゅうだい)竜馬
2010年2月1日、竜馬新田原自衛隊基地の東側に隣接する眺鷲台にオープンしたのが、軽食と休憩もできる『空の駅 眺鷲台 竜馬』。
新田原展望広場からだとこの位置。
ずっと気になりつつも通り過ぎていたのだけど、足を運んでみたら思っていた以上にたくさんの人が訪れていました。
“休憩やトイレの利用だけでも大丈夫”とホームページでも記載してあるように、気軽に訪れやすい雰囲気になっていて、この日はウォーキングで訪れ紫陽花を撮影する人も。
ランチでカツカレーを注文したところ、ボリューム満点!
2人分はあろうかというご飯に、たっぷりとんかつ、そしてカレーのルーにはトロトロに煮込まれた牛すじが。(女性だったので、これでも少なめのご飯の量みたいです)
すごく美味しくてテンション上がったけれど、途中からフードファイターの気持ちになったので、自信のない方は“ご飯少なめで”と注文しましょうw
空の駅では、自衛隊グッズも販売しています。
注目アイテムが、高速で見かけていた「わき見注意」看板のステッカー。
運転中についつい航空機が気になって“わき見”をしてしまう人は、車に貼っておきましょう。
基地内見学も可能(事前申し込み)
敷居が高いイメージの新田原基地だけど、事前申し込みにより1名から定員6名での見学が可能です。
土・日・祝および年末年始以外の日程にて、遅くとも1ヶ月前に事前確認・申し込みが必要となります。
新田原基地航空祭2023は12月3日(日)開催
毎年開催される『新田原基地航空祭』は県内外から5万人以上の人が訪れ、さまざまな航空機を近くで見ることのできる機会です。基礎知識をつけることで、より新田原基地航空祭を楽しめるようになるはず。
詳細が決まり次第、新田原基地のTwitter・Instagram・ホームページでお知らせがされるので要チェックです。
初めて足を運ぶ人は「新田原基地航空祭を楽しむための基礎知識」記事を参考にしてみてください。