西都市11月|『西都古墳まつり』炎の祭典と神話の魅力
西都古墳まつりの『炎の祭典』を訪れてみたら、神聖な雰囲気だけでなく現代的な要素も加わり、周りの人に“ぜひ一度は行ってみて”とおすすめしたほど魅力たっぷりのお祭りでした。
足を運んでみなければわからないこともあったので、あわせてご紹介します。
【2024年は11月2日(土)・3日開催(日)】
イベントについての詳細は決まり次第、西都市観光協会のホームページにて案内されます
西都古墳まつりとは?
2日間にわたって開催される西都古墳まつりは、古代のロマンと歴史を感じることのできるイベントです。
神楽・コフリンピック・火おこし体験・古代生活体験の他、年に一度の御陵墓一般公開もあります。
もちろん、さまざまなグルメの出店も。
古代衣装を来たり、アクセサリーを身につけて参加している人もちらほらいて、非日常感がある光景を楽しめるのもポイントです。
お祭りのメインイベントとなるのが『炎の祭典』。西都の神話絵巻を舞と音楽で再現し、古代衣装を身に着けた武人や女人が舞い踊ります。
『炎の祭典』の後に、満開のコスモス畑の上に花開く大玉の花火は格別でした。
西都古墳まつり『炎の祭典』神話絵巻の流れ・雰囲気
たいまつ行列がスタートする時間には会場内が光で照らされ、行列が主要な場所に着いた際に、現在の位置を知らせるアナウンスが流れます。
静かな会場内で到着を待つこと1時間以上。行列が会場に近づいてきた頃、オカリナの演奏がはじまりました。
そして先頭集団が到着すると会場内に火が灯り、いよいよ『炎の祭典』のはじまりです。
地上の地「高天原(たかまがはら)」に降臨した天の神、迩迩芸命(ニニギノミコト)。
天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫(まご)が、地上世界に降臨したことから「天孫降臨」と呼ばれます
ニニギノミコトが一目惚れしたのが、山の神であり絶世の美女、木花佐久夜姫(コノハナサクヤヒメ)。
二人は出会い、恋に落ちます。
そして天の神と地上の神、初めての結婚へ。
愛が生まれたことを象徴するかのように、ニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの手で、無戸室(うつむろ)を模したやぐらに火が放たれました。
歌声とともに、幻想的な光景になっていきます。
やがて火の粉が舞うほどの大きな炎となり、会場内も一気にあたたかくなりました。
結婚を喜んだコノハナサクヤヒメの父が、岩のように永遠の命となるよう、姉の石長姫(イワナガヒメ)も一緒にニニギノミコトの元に嫁がせようとします。
けれど容姿が醜かったため、ニニギノミコトは送り返してしまいます。
この結果、子孫である天皇の寿命は限りあるものになりました。
たいまつ行列のスタート地点となる、西都市の都萬神社は、コノハナとニニギが新婚生活を送ったとされる地です
一夜を過ごし、ニニギノミコトは戦の場へ。剣で戦う、力強い武人の舞。
戦いから無事戻ったニニギノミコトに、コノハナサクヤヒメは妊娠したことを告げます。
するとニニギノミコトは、「たった一夜で妊娠するはずがない。自分の子ではないんじゃないか」と疑いを…。
(エピソードを聞いた現代の女性たちを敵に回した瞬間)
コノハナサクヤヒメは「神であるニニギノミコトの子なら過酷な状況の中でも無事に生まれてくるはずです」と、『無戸室(うつむろ:戸の無い産屋)』に火を放ち、燃え盛る炎の中で出産することで潔白を証明しました。
炎を灯しての舞。
幻想的で、非日常な光景に魅了される時間。
上半身裸の男性たちがでてくると、大きな炎を手にし、さらにダイナミックで迫力のある舞に。
セイッ!セイッ!うぉりゃー!
外国から訪れた人も、楽しそうに一緒になってセイッ!と声出ししていました。
生まれてきた3人の皇子「ホデリノミコト(火照命=海幸彦)」「ホスセリノミコト(火須勢理命)」「ホオリノミコト(火遠理命=山幸彦)」の、炎を使った舞も可愛らしいです。
ホオリノミコト(山幸彦)の孫が初代天皇の神武天皇です
一般の方も飛び込みで参加できる、賑やかなお祝いの総踊りで炎の祭典は終了。
古墳太鼓奉納の後に、1日目フィナーレの花火となりました。
神話を知ると、ますます宮崎の観光が楽しくなるはず。
こちらの本、読みやすくてコラムや関連地域の情報もあっておすすめです。
「たいまつ行列」は一般参加者が存分に楽しめるイベント
古代衣装をまとった約500名の人々が、都萬神社から記紀の道をたどりながら御陵墓前広場へ向かう「たいまつ行列」。
たいまつ行列の先頭は「ニニギノミコト」と「コノハナサクヤヒメ」です。
一般参加者の応募は西都市観光協会のホームページで行われ、参加資格は4kmの行程を自力で歩けること(約1時間)。ちらちらと炎が動く壮大な行列は幻想的。
たいまつ行列に参加すると、炎の祭典が楽しめないかな?という懸念点があったものの、実際はたいまつ行列に参加した方がよりイベントを楽しめそうでした。
- たいまつ行列は炎の祭典の観覧席では見れない(会場に入る手前の道で火を消す)
- たいまつ行列が到着してから会場に火が灯っていく
- たいまつ行列の参加者は観覧席の前の最前列スペースにて炎の祭典を観覧できる
4km歩けるなら、たいまつ行列に積極的に参加するのがおすすめです。行列に参加できず、たいまつ行列を堪能したい人は会場外へ。
たいまつ行列が歩く約4キロの記紀の道には、妻高校生が手掛けるランタン2000個ほどが飾られていました。ランタンを手がかりにコスモス畑沿いの道へ。
幻想的な雰囲気のなか、ウォーキングできるのも楽しい体験になるはず。
西都古墳まつり『炎の祭典』足を運んでみて分かったこと
「炎の祭典」を楽しむために初めて足を運んだのですが、行ってみてわかることもありました。参考にしてみてください。
2022年1日目のスケジュール | |
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10:00~21:30 | 地場産業展・産業祭 |
12:00~17:00 | 火おこし体験 |
12:30~16:15 | 神楽まつり(穂北神楽、高屋神楽、銀鏡神楽、尾八重神楽) |
18:30〜19:40 | たいまつ行列 |
19:20〜 | 西都オカリナキッズ |
19:20〜22:00 | 炎の祭典 |
20:40〜 | 古墳太鼓奉納 |
20:50 | 古代花火 |
※2022年時点の情報のため、2023年以降は異なる点もあるかと思います。
西都古墳まつりの駐車場は?
2022年の公式情報では、下記のように記載がありました。
専用駐車場からまつり会場への往復シャトルバスです。(無料)
西都原運動公園駐車場⇔西都原ガイダンスセンターこのはな館
11月5日(土) 18:00~22:00
11月6日(日) 10:00~16:00
西都原運動公園駐車場ってどこ?
西都原運動公園駐車場と記載があったけれど、検索したGoogleマップの情報では「陸上競技場」「テニスコート」「野球場」などが表示されるだけで、駐車場がそもそもどこなのかわからなかったんですよね…。
探し回った結果、西都原運動公園外の道路上、第二駐車場にてシャトルバスの発着場がありました。
シャトルバスの運行時間が近くなると、誘導・案内があるかと思います。
2022年は18時からシャトルバスが運行し、『炎の祭典』がスタートしたのが19時20分以降。
『炎の祭典』だけを見に足を運ぶのなら、シャトルバス運行時間に合わせて大丈夫です。
初日は朝からイベントなのにシャトルバスがない?
専用駐車場の案内があるけれど、シャトルバスの運行は18時以降。でもイベントは朝から開催していたんですよね…。
結論として、シャトルバスがない時間帯は交通規制がなく、会場近くの「このはな館」の駐車場などを利用することが可能でした
夜は寒くなるので防寒対策は十分に
日中は暑かったのだけど、夜になると冷え込んできました。
用意されていた高さのある観覧席は、時間が経つにつれて冷たさ、固さを感じるように…。
ひざ掛けや、腰への負担を軽減する座布団などを持参しておくといいかもしれません。
時間の目安はだいたい
イベント内容やたいまつ行列の到着時間によって、公開されているスケジュールとは異なってきます。
西都市の人が「花火は20〜30分、時間より遅れることが多いよー」と言っていました。
2022年の古代花火の時間は20時50分〜となっていましたが、実際は21時10分〜35分ぐらいまで。
帰りは一度に人が動き混雑するので、22時すぎぐらいには会場を後にできると考えておくと良いかもしれません。
神話や歴史を知り、西都市を巡ろう
西都市の男狭穂塚古墳はニニギノミコト、女狭穂塚古墳はコノハナサクヤヒメの陵墓として伝えられています。
宮内庁の管理下にあるため、まだ発掘調査はされていません。
西都市の古墳で発掘調査されているのは、1割ほどなのだそう。まだまだ知られざる歴史が眠っている地です。
神話を知り、歴史を知ることで、見えてくる景色が変わってくる…西都古墳まつりは、そんな楽しさを知るきっかけになりました。